甲状腺とは。

甲状腺の病気は、一般的にあまり知られていないため、なかなか発見するのが遅れてしまいがちな病気です。

バセドウ病は200~400人に1人、橋本病は5~10人に1人、良性と悪性を含めた甲状腺の腫瘍性病変は5~10人に1人程度はみられると言われるほど頻度の高い疾患です。

甲状腺ホルモンの異常による病気は、悪化すると全身に様々な症状が現れ、身体的精神的に不調を訴えることがあります。また糖尿病やコレステロール高値、認知症や骨粗しょう症といった全身疾患の原因となることもあります。

 

 

甲状腺のホルモン異常による症状

  • 安静にしているのに、心臓がドキドキする
  • 食欲がないのに太ってきた
  • 手指が細かくふるえる
  • 朝起きた時に、顔や手がむくむ
  • 暑がりになり、水をよく飲み、汗をたくさんかく
  • 便秘をしやすくなった
  • よく食べているのにやせてきた
  • 昼間も眠く、居眠りをするようになった
  • イライラしやすくなった、落ち着きがなくなった
  • 脈がゆっくり静かになった
  • 体が冷え、寒がりになった
  • 月経が不順になった
  • 肌が乾燥し、カサカサになった
  • 首がはれている
  • 体が重く、だるく感じるようになった

 

健診で甲状腺腫大を指摘されたや気になる症状がある方は当院でご相談ください。

 

 

甲状腺はホルモンの合成を通して新陳代謝を正常に保ちます。

  • 甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にあり、蝶が羽を広げたような形をしている重さ10~20g程度の小さな臓器です。
  • 甲状腺は、経口摂取したヨードを材料として、からだの新陳代謝を調節する「甲状腺ホルモン」をつくっています。
  • 新陳代謝とは、脂肪などを燃やして活動するために必要なエネルギーをつくり出したり、古くなった細胞を新しい細胞につくりかえたりして、からだを成長させたり機能を維持したりすることです。

 

甲状腺は脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって甲状腺ホルモン分泌の調節を受けています。
たとえば甲状腺が働かなくなり甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、血液中の甲状腺ホルモン濃度が低下します。脳下垂体はそれを感知して甲状腺刺激ホルモン(TSH)をたくさん分泌します。

反対に血液中の甲状腺ホルモン濃度が上がりすぎると脳下垂体は、それを感知して甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を減らします。この仕組みをネガティブフィードバックと言います。

甲状腺機能は脳下垂体によって鋭敏に調節されているため、少しの甲状腺機能低下や機能亢進でもTSHが変動することが知られています。

 

 

甲状腺ホルモンは多すぎても少なすぎても良くありません。

 

  • 甲状腺ホルモンが分泌されるためには、まず脳の視床下部から、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)が分泌される必要があります。
  • TRHは脳下垂体を刺激し、その刺激によって脳下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)が放出されます。
  • TSHが甲状腺に働きかけることで、甲状腺ホルモンが分泌されます。
  • 甲状腺ホルモンの量は、多くても少なくても良くないため、常に一定に保たれるように調節されています。
  • 甲状腺ホルモンの量が多くなりすぎると、視床下部や脳下垂体がそれを感知して、甲状腺ホルモンの分泌量を低下させるように働きます。

 

甲状腺疾患には、

  • 甲状腺ホルモンが多い状態  :甲状腺機能亢進症
  • 甲状腺ホルモンが少ない状態 :甲状腺機能低下症
  • 甲状腺に腫瘍ができた状態  :甲状腺腫瘍 ・腺腫様甲状腺腫・甲状腺癌

などがあります。